説明書にも載っていない、石油ファンヒーターの謎のコマンド

石油ファンヒーターには、説明書にも載っていない、謎のコマンドがあります。

家電量販店などで、石油ファンヒーターを展示する際に設定するものなのですが、いわゆる「デモモード」です。関係者には、サービスマニュアルが配られていて、そこに載っています。

デモモードにすると、石油ファンヒーターのボタンが点滅して、見栄えがよくなります。

ダイニチブルーヒーターのデモモード


ダイニチのブルーヒーターでは、石油ファンヒーターのプラグをコンセントにさします。運転ボタンは押さないでください。

「タイマー」ボタンを押したまま、「さむいとき」ボタン、または「+」ボタンを5回押してください。

すると、いろいろなボタンが点滅しだして、メロディーも流れます。

動画があります。ご覧下さい。

残念ながら、性能が上がるようなことはありません。

気が済んだら、コンセントからプラグを抜いてください。運転ボタンを押しても、元にはもどらないので。


コロナの石油ファンヒーターのデモモード


展示用モードだということは、他のメーカーにも、似たような設定があるということです。

コロナの石油ファンヒーターではどうでしょうか?

コロナのファンヒーターの場合は、ダイニチの時と同じように、プラグをコンセントにさします。そして、「タイマー」ボタンを押しながら、「+」ボタンを5秒間押してください。ダイニチの時と異なるのは、ボタンを押す回数ではないという点です。


トヨトミの石油ファンヒーターのデモモード


さて、トヨトミの石油ファンヒーターの場合はどうでしょう?

「タイマー」ボタンを押しながら、プラグをコンセントにさしてください。すると、パネルの表示部に「トヨトミ」と表示されます。

不良灯油にご用心!

国民生活センターが、暖房シーズンのこの日、石油ファンヒーターで不良灯油を使用しないように注意を呼びかけました。

不良灯油とは


不良灯油とは、昨年の使い残しの灯油(変質灯油)や、水などの異質なものが混じった灯油(不純灯油)のことをいいます。


不良灯油を使うとどうなるか?


国民生活センターが紹介した事例によると、2013年1月、70才代の男性が新品の石油ファンヒーターを使ったところ、点火後数分で止まってしました。点検をしてもらうと、灯油に水が混じっていたそうです。

たとえ新品の石油ファンヒーターでも、不良灯油を使うと、こんなことになってしまうのです。恐ろしい話ですね。


でも、石油ファンヒーターが止まるだけなんでしょ?

いえいえ、他には・・

国民生活センターが行った実験では、温風吹き出し口などから刺激臭のある煙が出たり、石油ファンヒーターの内部がサビついたりしました。


不良灯油を使っても大丈夫な石油ファンヒーターはないの?


ちょっと脅かせすぎでは?

技術大国日本なんだから、不良灯油を使ってもかまわない石油ファンヒーターくらいあるんじゃないですか?

たしかに、国民生活センターが行った実験で使われた石油ファンヒーターは、コロナとダイニチのもので、両社が採用している燃焼方式は、不良灯油に強くありません。

それにトヨトミが採用している燃焼方式のポット式は、混合ガスを作らずに燃焼するという方式なので、不良灯油に強いといわれています。

でも、当のトヨトミは、

不純灯油(灯油以外の 油・水・ごみが混入した灯油など)などの不良灯油は使用しないでください。

といっているのです。


石油ファンヒーターの保証の例外


でも、ダイニチの石油ファンヒーターなら、3年保証だから問題ないんでしょ?

いいえ、ダイニチを含め、他石油ファンヒーターメーカーは、不良灯油による石油ファンヒーターの故障を保証していません。


不良灯油への対策


不良灯油への対策としては、不良灯油を使わないのが一番です。石油ファンヒーターの底に残った灯油をポンプで吸い取りましょう。

また、不良灯油を作らないことも重要です。灯油は、専用のポリタンクで保管しましょう。ポリタンクは冷暗所で保管します。

石油ファンヒーターのカラーリング

ダイニチブルーヒーターのカラーリング


ダイニチの2013年度のラインナップは、8タイプ25機種ですが、カラーリングにより51モデルもあります。

ダイニチでは、神戸製鋼製の塗装ロボット信長くんと秀吉くんが、人間のように滑らかに何度も何度も塗装していきます。



石油ファンヒーターのボディの色は、何が流行るのか予測がつかめません。ダイニチブルーヒーターでは12種類の色を使っています。2012年度は10色でしたので、2色増えました。

よく使われる色はホワイトとシルバーの2つ。ホワイトだけでもウォームホワイト・プレミアムホワイトなど3種類。シルバーは2種類あります。

2012年度のモデルにはあった、ジャパンブラウン・ロイヤルブルー・ロイヤルレッドの3色がなくなり、ピアノブラック・プレミアムグレー・プレミアムホワイト・ワインレッド・木目の4色が増えました。

ピアノブラック・ワインレッドは「NEタイプ」に新色を加え、バリエーションを増やしています。2012年度の3色をなくし、2013年度に3色追加しているのは、「DXタイプ」の色を総入れ替えしているからです。

「DXタイプ」は、高機能を指向するひとのためのタイプです。色を総入れ替えしているのは、高級感のある色を決めるのに苦労しているからでしょうか。それとも、そういう指向のひとは色の流行があるのでしょうか。



各色に、どのような特色があるでしょうか?

木目・プレミアムグレー・プレミアムホワイトは「DXタイプ」だけに許された禁色です。このタイプには柄もあります。まさに選ばれた方だけの石油ファンヒーターといえます。

ロイヤルブラウンは、「FXタイプ」のスタイリッシュさを表現する色です。

クールホワイトは2012年度の「DXタイプ」に使われたこともある色です。「LXタイプ」や「FXタイプ」にも使われるなど、最上位タイプではベーシックな色です。

ウォームシルバーは、「LXタイプ」から「NEタイプ」にまで使われるベーシックな色です。2013年度では、普及版の「Sタイプ」にも使われています。

その石油ファンヒーターは国産か?

ダイニチの工場


ダイニチの工場は、第1から第3までの3つの工場が、新潟県新潟市南区北部工業団地内に集中して存在します。

第1工場で、石油ファンヒーターを生産しています。

[map addr=”新潟県新潟市南区北田中780番地6″]



シーズン前の3月上旬には、確実に売れる製品を大量に生産しておき、在庫を積みあげてしまいます。この時期には1日8千台を生産するそう。

9月から11月という、石油ファンヒーターの受注がピークになる前に作っておく理由は、その後、ライバルメーカーが生産を絞っていくなか、もし寒波がきて、急な需要が増えたときにも対応できるからなのだそうです。

この方法で、ダイニチは石油ファンヒーターのシェアを伸ばしました。


コロナの工場


コロナの工場は、三条工場、柏崎工場、長岡工場の3つがあります。すべて新潟県にあります。そのうち、柏崎工場ではFF式ヒーターを、長岡工場ではエコキュートを生産しています。

石油ファンヒーターは、三条工場で作られています。

[map addr=”新潟県三条市東新保7-7”]



石油ファンヒーターの受注があるのは、秋です。春は生産ラインが止まってしまいます。そこで、コロナでは、春には、同じ生産ラインで、同じ従業員を使い、エアコンなどの空調機器を生産しています。これを同社では、「二毛作体制」と呼んでいます。


トヨトミの工場


トヨトミの工場は、愛知県の本社工場と額田工場があります。石油ファンヒーターを製造しているのは額田工場の方です。

[map addr=”愛知県岡崎市樫山町字陣ノ屋1番地”]


アラジンの工場


アラジンの工場は、中国の広東省にあります。東莞千石家電有限公司と千石家電(恵州)有限公司の2つです。


まとめ


日本の石油ファンヒーターメーカーは、ほとんど日本で生産していることが分かりました。他の業界では、海外に生産拠点を移している中、珍しいですね。

普段、使っている石油ファンヒーターがこういうところで作られていて、運ばれてきたことを考えると面白いです。

石油ファンヒーターの原価

石油ファンヒーターの原価はいくらでしょうか?

売上の7割が石油ファンヒーターだというダイニチの財務諸表でわかるのではないでしょうか。



見たところ、石油ファンヒーターの原価は書かれていませんでした。ただ、ダイニチが出す製品全体の原価は書かれていました。

ダイニチは、石油ファンヒーターや業務用石油ストーブなどの石油暖房製品のほかに、加湿器、空気清浄機、家庭用燃料電池システムなどの環境機器、コーヒーメーカーなどのその他製品を売っています。

そこで、この数年間で、一番、石油暖房機器の売上比率が高い年を探しました。

それは、2011年3月期でした。石油暖房機器の売上が全体の売上の91%もあります。これで、環境機器や、その他製品の影響を可能な限り排除できます。石油暖房機器の売上のうち、石油ファンヒーターは9割を占めます。

2011年の売上高は187億で、製品売上原価は135億でした。

売上高に占める、製品売上原価の比率は 72%になります。

別の項で出した、ダイニチの1台あたりの平均出荷金額は11,328円でした。



だとすると、平均製品原価は8,156円です。



原価には、材料費、労務費、経費が含まれます。

材料費は、500個の部品や鉄板の調達費用です。
労務費は、工場の人件費です。
経費は、工場の光熱費、機械のリース料です。

2013年3月期には、材料費は原価の56%、労務費は12%、経費は31%です。



最近は、材料費が高くなっています。そこで、ダイニチは、生産性を向上させたり、製品納入価格に転嫁しているようです。



ついでに、2011年3月期の販売管理費は33億円で、18%。

石油ファンヒーターから出る利益は、19億円で、10%です。
石油ファンヒーター1台から、平均1132円の利益が出る計算になります。

石油ファンヒーターの原価、販売管理費、利益の割合

石油ファンヒーターの原価、販売管理費、利益の割合

設定温度を超えて、室内温度が上がる時

設定温度を20度にしたのに、室内温度が24度になることはないでしょうか?

春先や秋口には、中途半端な温度の日が多く、ファンヒーターがすぐに設定温度を超えてしまいます。ファンヒーターは、室内空気の温度を検知して、設定温度を維持しようとはしません。

ファンヒーターは、設定温度を下回らないように、弱い暖房を継続します。ですから、設定温度よりも、室内温度の方が高くなってしまうのです。

このようなファンヒーターを持っているということは、ダイニチのSタイプやNEタイプではないですか?

ダイニチのSタイプやNEタイプは、「ひかえめ運転」という機能があるものの、自動消火、自動点火をしません。暑く感じたら、ボタンを押して消しましょう。



2007年、ダイニチは、ファンヒーターに「新ひかえめ運転」という機能をつけました。それは、「ecoおまかせ」と書かれた、SタイプやNEタイプ以外のファンヒーターについています。

この「新ひかえめ運転」では、ファンヒーターが室内温度を感知して、設定温度より3度上回ると自動消火し、室内温度が設定温度より1度下回ると自動的に着火します。

この機能があれば、わざわざ、ボタンを押さずに済みます。



ただ、この自動消火・点火は、人が見ていないと火事や一酸化炭素中毒の原因になります。このタイプのファンヒーターを使う方は、ファンヒーターを消したか、注意、確認しましょう。

大手家電メーカーが石油ファンヒーター事業から撤退した理由は、このような事故のリスクがあるからなのです。

カタログ上のランニングコスト

石油ファンヒーターメーカー各社は、1日10時間5か月の使用を基準にしています。ちなみに1月は30日です。

アラジンが想定するランニングコスト


どのメーカーも、電気代についてのランニングコストは書かれていますが、灯油代については書かれていません。年間の灯油代を書くと、万を軽く超えてしまうので、石油ファンヒーターのランニングコストがとても高く見えてしまうからです。

そのなかで、アラジンは、自社石油ファンヒーターのeco運転の良さを強調するために、年間灯油代について考えるヒントを提供しています。

すなわち、「AKF-L424N」という機種は、eco運転をする、しない、によって年間灯油代にして約2880円の差がうまれる、ということです。

そして、この差は、「約10%の省エネ」にあたる、というのです。



この点から考えると、2880円の10倍が年間灯油代になる、ということですよね。

「約10%の省エネ」のeco運転も考慮します。

つまり、2880 × 9 = 25920円が年間灯油代ということになります。

1か月の電気代はそのまま書かれているので、それを使うと

強の設定の時は、約165円(約145.2円と書いてあるが間違いのよう)で、弱の設定の時は、約85.8円。
平均をとると、約125.4円。

5か月で考えるので5倍すると627円。

点火時の消費電力は610Wと、かなり大きいものの、その時間は短いので、影響は小さいと考え、この電気代には含まれていません。



灯油代と電気代を足して、年間の石油ファンヒーターのランニングコストは

25920 + 627 = 26547 円になります。

1か月、5309.4円です。



このカタログの灯油価格は、今年の1月7日の石油情報センター全国平均店頭価格で決めています。その時は、1リットル96円でした。

11月現在1リットル96.6円くらいなので、感覚的に同等です。


アラジンが想定する灯油代検証


先のランニングコストは、「外気温5度、設定温度20度 暖房負荷1.8kwの8畳の実験住宅」で行われた、通常運転とeco運転での灯油の消費量の差から、灯油価格を掛けて、だしたものらしいです。

では、カタログスペックから、よくやる方法で検証してみましょう。

「AKF-L424N」の燃料消費量は「 「強」0.410~「弱」0.079 L/h 」とあります。

これを平均します。平均燃料消費量は 「0.2445 L/h」 です。

これに、1500時間と1リットル96円をかけると 35208円です。

1か月、7014.6円になります。



アラジンが想定する灯油代の実験では、燃料消費量は、「通常運転時0.22l/hとeco運転時0.20l/h」でした。

カタログスペックから、燃料消費量を平均するやりかたで、実際の燃料消費量をわりだすことができるかは疑問です。



そもそも、年間灯油代を計算するときは、

燃焼時間 × リットルあたりの灯油代 × 燃料消費量 

という式になります。

リットルあたりの灯油代は、基本的に固定ですが、燃焼時間と燃料消費量は、北日本では寒くなるので、大きくなるし、南日本では、小さくなります。

というわけで、アラジンが想定する灯油代も、カタログから計算していく灯油代も、実際の灯油代とはかなり離れていることは推測できます。

石油ファンヒーターの国内シェア

石油ファンヒーターの国内シェア



下の図は、家庭用石油ファンヒーターの国内シェアを予想したものです。

ダイニチ工業がシェアの半分50%を握り、コロナが25%、トヨトミが14%、アラジンが10%と予想します。予想の理由を以下に示します。


ぶっちぎりのシェア1位、ダイニチ工業


ダイニチ工業が石油ファンヒーターのシェア1位であることは間違いありません。なにしろ、ダイニチ工業自ら、2009年から、4年連続シェア1位を達成した、といっています。また、新入社員向けのページにてシェアは50%ともいっています。

株主通信にあるように、ダイニチの売上の7割を石油ファンヒーターが占めているようです。ダイニチの2013年3月期の売上高は232億円。ですので、石油ファンヒーターの売上高は162億円です。石油暖房の売上高168億円にちゃんとおさまっています。

2012年度の家庭用石油ファンヒーターの出荷額は376億円ですので、ダイニチの石油ファンヒーターがすべて家庭用とすると、金額ベースのシェアは42%になります。

ダイニチ工業は、市場調査会社GfK Japanによる、全国有力家電販売店の販売実績集計で、メーカー別数量、金額シェアともにシェア1位といっています。ですので、新入社員向けのページでいっているシェア50%は、金額ベースではないことになります。42%をシェア50%とは言えません。

ということで、新入社員向けのページでいっているシェアは50%とは、メーカー別数量、すなわち出荷台数のことを指します。2012年度の家庭用石油ファンヒーターの出荷台数は285万台です。ですから、ダイニチの石油ファンヒーターの出荷台数は143万台になります。

ダイニチは、低価格の石油ファンヒーターのシェアを高めてきました。出荷台数シェア(50%)の存在感に比べて金額ベースシェア(42%)の存在感が小さくなるのは当然です。2012年度の家庭用石油ファンヒーターの1台あたりの平均出荷金額は13,192円です。ダイニチの1台あたりの平均出荷金額は11,328円です。やはり、ダイニチは、他のメーカーよりも低価格な石油ファンヒーターを売っているようです。

ダイニチの売上高 232億円
石油ファンヒーターの売上高 162億円(シェア42%)
石油ファンヒーター出荷台数 143万台?(シェア50%)
1台あたりの平均出荷金額 11,328円?


トータル暖房のコロナ


コロナの石油ファンヒーターのシェアはよく分かりません。東証1部上場企業とはいえ、公開資料が少ないためです。むしろ、同じ東証1部上場企業のダイニチ工業の透明性の方が際立ちます。

コロナは暖房機器全体のシェア1位だといっています。ですが、石油ファンヒーターのシェアはそれほど高くないようです。

平成14年の越後ジャーナルの記事では、石油ファンヒーターのコロナのシェアは30%でトップと書かれています。その年以降は、30%を行ったり来たりの状況ではないかと推測します。

ダイニチとコロナの本社は、新潟県にあります。新潟県の石油ファンヒーターのシェアが分かれば、突破口になるはずです。ありました。経済産業省の子ども向けのサイトです。石油ストーブのシェアが74%とあります。

しかし、なんだか古い統計のようです。もっと探してみると、NPO法人住民安全ネットワークジャパンの記事がありました。新潟県は石油ファンヒーターの国内シェア9割、ということです。2013年1月の記事です。

この記事を信頼すれば、ダイニチのシェアは5割なので、コロナのシェアは4割ということになります。NPO法人住民安全ネットワークジャパンは新潟県人が集まった組織のようで、会員に櫻井良子氏もいます。どこから得た情報なのでしょうか?独自の情報なのでしょうか?新潟県の統計に、それらしい情報が見当たらないので。おそらく石油ストーブ全体と間違えたのではないかと思います。

というわけで、本サイトでは、コロナの石油ファンヒーターのシェアは20~30%ぐらいではないか、と推測します。


トヨトミ


トヨトミの売上高は、​​​平​​​成​​​25年​​​3月​​​期の実績で160億円です。そのうち、どれだけが石油ファンヒーターの売上高なのでしょうか?

トヨトミも、石油ファンヒーターを日本国内で生産しているようです。自社工場は2カ所。本社工場は、名古屋にあり、額田工場は、岡崎市にあります。

幸運にも、それぞれの工場で生産しているものが違うことが分かりました。すなわち、本社工場では、石油ストーブを、額田工場では、石油ファンヒーターを生産しています。

額田工場がある岡崎市の統計をしらべてみました。工業関係の統計に、「町別事業所数、従業者数、製造品出荷額」がありました。額田工場の住所は、樫山町です。ありました。2010年の統計です。事業所数5、従業者数475人、製造品出荷額115億円。

トヨトミ以外の工場の出荷額も含まれているので、製造品出荷額115億円を事業所数5で割ります。すると23億円。トヨトミの額田工場の従業員数は、約145人です。岡崎市の「従業者1人当たりの製造品出荷額等・付加価値額」という統計で、従業員100~199人の工場が生み出す「1事業所当たりの製造品出荷額」は26億円ですので、だいたいあっていると思います。

トヨトミ額田工場の出荷額は23億円。ここでは、石油ファンヒーターと石油給湯機をつくっています。トヨトミの石油給湯器の出荷額は分かりません。ですから、ここからは推測になりますが、トヨトミの石油ファンヒーターの売上高は20億円ぐらいではないでしょうか。

2010年度の石油ファンヒーターの出荷額は366億円です。ですから、トヨトミのシェアは金額ベースで5%になります。

想定よりも、シェアが小さいです。もしかしたら、本社工場でも石油ファンヒーターをつくっているのかもしれません。あるいは、額田工場の生産性はもっと高く、出荷額はもっと大きいものなのかもしれません。

なにしろ、トヨトミの石油ファンヒーターのラインナップは11機種もあり、機種の数がシェアに比例している可能性があるためです。

トヨトミは海外での販売が大きい会社です。全体売り上げのうち、国内の売上は7割、海外の売上は3割のようです。だとすると、国内売上は112億です。トヨトミの主力商品は石油ストーブなので、石油ファンヒーターは国内売上の50%以下になります。

主力商品が売り上げトップになるはずだからです。ですから、トヨトミの国内の石油ファンヒーターの売上は56億以下になります。

2012年度の家庭用石油ファンヒーターの出荷額376億円のうち、トヨトミの売上は56億円。つまり、トヨトミのシェアは15%を超えない、ということになります。


アラジン


アラジンのファンヒーターの売上を調べるために、輸入販売会社日本エー・アイ・シーの売上を探しましたが、分かりませんでした。さらに親会社の千石の売上高もしらべたのですが、非上場企業のため、公表していないようです。(後に調べたところ、2012年の実績で売上高177億円)

経済産業省の製品安全ガイドにリコール情報があり、アラジンの製品の対象台数が載っていました。情報が少ないため、出すだけで他意はありません。

さて、そこに何と書かれているかというと、「AKF-P321N」という機種が、2010年8月から2011年2月4日までの半年間に、対象台数151,182台が出荷されている、ということでした。

2010年度の国内出荷台数は、288万台です。この1機種だけでも国内の5%くらいシェアがあるといえます。アラジンは、他にも石油ファンヒーターを販売しているので、10%はシェアを確保しているのではないか、と推測します。

千石の2011年度の実績では、石油ファンヒーターを30万台製造しているとのことです。2011年度の国内販売台数は309万台ですので、シェア10%です。